相続時精算課税制度>>相続時精算課税制度を利用した節税・相続対策
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賃貸アパートなど収益物件の贈与

 賃貸アパートなど収益物件を贈与すれば、贈与後はその果実(賃貸収入)は子供のものとなるため、相続財産の増加を防ぐ効果があります。ただし、借入金や預り敷金には注意をしてください。
 

収益物件の贈与

 相続時精算課税制度では、相続財産と合算する贈与財産(相続時精算課税適用財産)の価額は、贈与時の価額で計算されるため、相続時に実際にその財産の価額が上がっていれば、結果的に節税となります。ですから、贈与財産が「贈与時の価額」と「相続時の価額」が一緒であるならば、基本的には相続税の節税にならないということになります。
 しかし、贈与財産の「贈与時の価額」と「相続時の価額」が一緒である場合でも、収益物件を贈与するならば、相続税の節税となります。
 例えば、親が賃貸アパートを持っているとすると、そこから入る家賃収入は親のものであるため、必要経費や所得税などを差し引いた残りは、当然親の財産となり、結果的に相続財産となってしまいます。賃貸アパートを贈与すれば、その後の家賃収入は子供のものとなるため、相続財産の増加を防ぐことになり、また、相続税納税資金として蓄えることができます。なお、所得の分散効果があるため、子供より親のほうがはるかに所得があるならば、親・子供合した所得税も減ることになります(所得税は超過累進税率方式のため)。
 

贈与財産の価額

 贈与税の計算で使われる「贈与財産の価額」とは、一般的に「不動産の通常の取引価額(いわゆる一般で言う時価)」ではなく、「相続税評価額」と呼ばれるものとなります。賃貸アパート(建物)の評価額は、
 「家屋の固定資産税評価額」−「家屋の固定資産税評価額」×「借家権割合」×「賃貸割合」
 となります(評基通93)。
 固定資産税評価額の目安は、だいたい標準的な建築費用の60%〜70%ぐらいとなっており、また、借家権割は30%の地域がほとんどです。そのことを考えると、いかに「不動産の通常の取引価額」に比べて「相続税評価額」が安いのかがわかると思います。
 
 (例)
 家屋の固定資産税評価額が1000万円、借家権割合が30%である地域、賃貸割合が100%である場合の評価額はいくらでしょうか?
 
 (答え)
 1000万円−1000万円×30%×100%で財産評価額は700万円となります。
 
 
 

借入金

 銀行など金融機関からお金を借りて、賃貸アパート(建物)を建設し、いまだその借入金が残っている場合には注意をする必要があります。借入金が残っている状態で、その賃貸アパートと借入金を一緒に贈与しますと、「負担付贈与(別サイト)」になります。負担付贈与とは、贈与に負担が付いているものです。この負担付贈与の場合には、賃貸アパートの評価額は、上記で説明した「相続税評価額」ではなく、「通常の取引価額」で評価することになります(平成元年3月29日付直評5、負担付贈与又は対価を伴う取引により取得した土地等及び家屋等に係る評価並びに相続税法第7条及び第9条の規定の適用について)。つまり、評価額が高くなり、贈与税の負担が重くなります。ですから、贈与する収益物件は、借入金のないものにすべきです。
 

預り敷金

 敷金とは、不動産の賃借人が、賃料その他の債務を担保するために契約成立の際、あらかじめ賃貸人に交付する金銭であり、賃貸借契約が終了すれば賃借人に債務の未払いがない限り返還されるものです。つまり、賃貸アパートのオーナーは、敷金を預かり、敷金返還義務を負っている状態だということになります。
 親がこのような賃借人に対して敷金返還義務を負っている状態(預り敷金がある状態)で、子供に対し賃貸アパートを贈与した場合には、法形式上は、負担付贈与に該当します。つまり、親が賃貸アパートを贈与した場合、子供は賃貸アパートをもらうだけでなく、同時に敷金返還義務を負うから、負担付贈与に該当するということです。負担付贈与に該当すると、賃貸アパートの評価額は、「相続税評価額」ではなく、「通常の取引価額」で評価することになり、贈与税の負担が重くなります。
 しかし、敷金返還義務に相当する金銭の贈与を同時に行えば、一般的にその敷金返還債務を承継させ(す)る意図が贈与者(親)・受贈者(子供)間においてなく、実質的な負担はないと取り扱うことができます。つまり、賃貸アパート(建物)の贈与をするときに、賃借人から預かった敷金に相当する金銭の贈与も同時に行えば、実質的に負担付贈与にならないと取り扱うことができます。この場合、賃貸アパートの評価額を「通常の取引価額」で評価しなくてよいということになります。
 また、この場合、実質的に負担付贈与に該当しないため、譲渡の対価がありませんので親に対して譲渡所得に係る課税は生じません。